ガラス屋の日常⑮|「ペアガラスの中が曇っているんですけど、直せますか?」と言われる話
宇部市でペアガラスのご相談をいただく中で、時々このようなお話があります。
「ペアガラスの中が曇っているんですけど、拭いたら直りますか?」
窓ガラスの表面に発生した結露であれば、タオルなどで拭き取ることができます。
しかし、2枚のガラスの間に曇りや水滴が発生している場合は、手が届かないため拭き取ることができません。
これはペアガラスの内部結露と呼ばれる状態で、基本的にはペアガラス本体の交換が必要になります。
今回は、室内側の結露とペアガラス内部の結露の違い、交換方法や受注生産になる理由についてご紹介します。

結論|ペアガラス内部の曇りは本体交換になります
ペアガラスの中空層に発生した曇りや水滴は、現場でガラスを開いて掃除したり、乾燥させて元へ戻したりすることができません。
ペアガラスは、工場で2枚のガラスを一体化し、周囲を密封して製造されています。
一度密封性能が低下して内部へ湿気が入った場合、清掃やコーキングの補修だけで、新品と同じ密封状態や断熱性能へ戻すことは困難です。
そのため、サッシから現在のペアガラスを取り外し、新しく製作したペアガラスへ交換する方法が基本となります。
ペアガラスは2枚のガラスが一体になった製品です
ペアガラスは「複層ガラス」とも呼ばれ、2枚のガラスの間に空気層やガス層を設けた構造になっています。
- 室外側のガラス
- 空気層またはガス層
- 室内側のガラス
- ガラスの間隔を保つスペーサー
- 周囲を密封する封着材
2枚のガラスの間にある中空層によって、1枚ガラスよりも熱が伝わりにくくなり、断熱性や防露性を高めています。
Low-Eペアガラスでは、ガラス表面に特殊な金属膜が施工されているものや、中空層にアルゴンガスが封入されているものもあります。
室内側の結露と内部結露の見分け方
同じ「曇り」に見えても、どこに水分が付いているかによって原因と対応方法が異なります。
| 曇りや水滴の場所 | 考えられる状態 | 主な対応 |
|---|---|---|
| 室内側の表面 | 室内の湿度やガラス表面温度による結露 | 拭き取り・換気・除湿・断熱対策 |
| 室外側の表面 | 気象条件やガラス表面温度による外部結露 | 時間の経過や気温の上昇で消える場合があります |
| 2枚のガラスの間 | ペアガラスの内部結露 | ペアガラス本体の交換 |
室内側または室外側の表面に付いている水滴は、手やタオルが届くため拭き取ることができます。
室内側から拭いても、室外側から拭いても曇りが残る場合は、2枚のガラスの間で内部結露が発生している可能性があります。
ペアガラスの内部結露が起こる理由
ペアガラスの周囲には、中空層へ湿気が入らないように封着材が使用されています。
経年劣化や施工条件、ガラス周辺の排水状態などによって密封性能が低下すると、中空層へ湿気が入り、曇りや水滴が発生することがあります。
- ガラスの間が白く曇っている
- 2枚のガラスの間に水滴が見える
- 拭いても汚れや曇りが取れない
- 天候や時間帯によって曇り方が変わる
- 以前より曇っている範囲が広がっている
このような状態は、自然に元へ戻るものではありません。
内部へ入り込んだ湿気によって見えにくさが増したり、本来の断熱性能が低下したりする可能性があります。
ガラスの間だけを掃除することはできません
「曇っている部分だけ掃除できませんか?」と聞かれることがあります。
しかし、ペアガラスは2枚のガラスを現場で簡単に分離できる構造ではありません。
仮にガラスを分解できたとしても、内部を乾燥させ、空気層やガス層を再現し、周囲を工場製品と同じ状態で密封し直すことはできません。
見た目だけ一時的に改善しても、再び湿気が入り込む可能性があるため、現場で穴を開けたり、シール部分だけを補修したりする方法は、当店では行っていません。
多くの場合、サッシごと交換する必要はありません
ペアガラスの内部結露が発生していても、サッシに大きな変形や腐食がなければ、ペアガラス部分だけを交換できる場合があります。
現在のサッシを残して、曇っているペアガラスを新しいペアガラスへ入れ替える工事です。
ただし、サッシの状態やガラスの固定方法、既存製品の仕様によっては、部材交換やコーキング施工、サッシごとの交換を検討することもあります。
ペアガラスは受注生産です
一般的な1枚ガラスは、種類によってはガラス店の車両や倉庫に在庫があり、現場の寸法に合わせて加工できることがあります。
一方、ペアガラスは2枚のガラスを工場で組み合わせ、周囲を密封して製造するため、基本的に受注生産です。
- ガラスの横幅・高さ
- 室外側と室内側のガラスの種類・厚み
- 空気層の厚み
- Low-E膜の有無・種類
- アルゴンガスの有無
- ペアガラス全体の厚み
- グレチャンやコーキングなどの固定方法
これらの仕様を確認してから製作するため、現地確認をした日にそのまま交換することはできません。
現地で確認と採寸を行い、お見積もりにご納得いただいたあとに発注し、ペアガラスが入荷してから改めて交換作業を行います。
古いペアガラスは一度外して確認することがあります
比較的新しいペアガラスには、メーカー名・製造時期・ガラス構成などを確認できる刻印や表示が入っている場合があります。
しかし、古いペアガラスでは刻印が見当たらず、外から見ただけではガラスの厚みや空気層、全体の厚みを正確に判断できないことがあります。
その場合は、一度サッシを分解してペアガラスを取り外し、ガラス構成やグレチャンの状態を確認してから見積もり・発注を行います。
新しいグレチャンの形状や色が既存サッシに合わない場合は、既存のグレチャンを清掃して再利用したり、状態によってはコーキング施工へ変更したりすることもあります。
保証期間内の内部結露である可能性もあります
複層ガラスには、メーカーや製品によって、中空層の内部結露に対する保証が設定されている場合があります。
ガラスの刻印や製造年月日、施工条件などによって保証対象になる可能性があるため、比較的新しい窓の場合は、交換を依頼した販売店や施工店へ確認することをおすすめします。
ただし、ガラス表面の結露、ガラスの割れ、熱割れ、施工条件や使用環境などによっては保証対象外になる場合があります。
MADOSUKEガラス店で新しく交換するペアガラスについても、対象製品・施工条件に応じた内部結露10年保証をご案内しています。
宇部市でペアガラスの内部結露にお困りの方へ
ペアガラスの曇りが、室内側の結露なのか、2枚のガラスの間に発生した内部結露なのかは、写真だけでは判断しにくいことがあります。
MADOSUKEガラス店では、現地で曇りの位置、ガラスの種類・寸法・構成、サッシの状態や施工方法を確認したうえで、交換内容と総額をご案内しています。
内部結露の場合は、現在のサッシを使用したままペアガラス部分だけを交換できるか確認し、ご納得いただいた場合のみ発注します。
「ガラスの中が曇って見えにくい」「何度拭いても曇りが取れない」「サッシごと交換する必要があるのか知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。
参考情報
参考:NBS「複層ガラス」
